首都圏在住の一八〜三九歳の女性三〇〇人を対象にワコールがおこなった調査によると、女性がブラジャーをする理由は次のようなものであることがわかった。「Q1あなたがブラジャーを着用するのはなぜですか」第一位バストの形を美しくととのえるため=六九パーセント第二位みだしなみとして当然=五五・〇パーセント第三位着用しないと動いて不安定だから=四一・七パーセント第四位着用すると気持ちがひきしまるから=二六・七パーセント第五位胸が表にひびくのが恥ずかしいから=二五・七パーセント第六位バストがあるようにみせるため=二〇・三パーセント第七位胸を保護するため=一〇・七パーセント第八位ファッションとして楽しいから=七・七パーセント第九位着用すると暖かいから=七・〇パーセントこのように、女性がブラジャーに期待しているのは、第一に、バストの形をカッコよくみせることにある。そのためにブラジャーには、バストをもち上げ、サポートし安定させ、腹のぜい肉をおさえるなどの機能があるのだ。たとえば、バストラインがくずれ始めたとき、それをノーブラのまま放置しておくのと、ブラジャーをきちんとつけて緊張を保っておくのとでは、くずれ方が大きくちがってくる。とくにバストの大きな女性は、それだけ下垂しやすく、たとえ張りのある高校生のバストでも、けっして安心はできない。ティーンのつけ始めブラは乳房を保護し、その発育をうながす役割をはたし、マタニティブラは出産後の体型維持にも大きな役割をはたしている。こうした機能面のほかに、女性はブラジャーに「ファッション」性を望んでいるのも見逃せない。おしゃれなブラジャーをつけることが女性のひそかな楽しみとなっているのだ。ブラジャーのカタログにみる変化によってもこれは裏付けられている。初期頃から一〇年間ぐらいは、白のワイシャツ用の生地(ブロードクロス)でつくられ、後ろの金具部分をゴムにして伸縮させていた。現在は、天然繊維に化学繊維が加わり、ポリウレタンのように伸縮する生地が使われ、スッキリしたものとなっている。デザイン面でも、当初は隠すということに重点が置かれていたが、現在ではファッション性がもっとも重視されており、次にバストを少しでも美しくみせようというサポート性が重視されてきている。これも女性の意識の変化の反映で、隠すというより着て楽しみ、みせて楽しむというふうに女性が解放されてきたことの証だ。アメリカ出張のたびに、私はアメリカ女性の下着観をきいてまわるのだが、おもしろいことに、彼女たちは口をそろえてこういっている。「私かブラジャーに期待するのは、ルック・ナチュラル(ごく自然にみえる)、リフトアップ(もち上げる)の二つです」生なりのアウターが女性の解放のシンボルなのと同様、ことさら脇からおさえつけてバストアップを狙ったり、あるがままの乳房とかけはなれたような不自然な形を無理につくろうとしたりするブラジャーは好まれていない。あくまでも、男性の思い入れより自分の快感を第一に考えてブラジャーを選んでいる。乳房の形をととのえるのでも、日本女性の場合はまだ、男性が勝手に決めた理想的なバストの形に押し込めようとする傾向がなくもない。ブラジャーは性意識のあらわれでもあるのだ。
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